TAO MANAGEMENT GROUP _ OFFICE ENTRANCE - KANAGAWA
TAOマネージメント・グループ _ オフィス・エントランス - 藤沢/神奈川
オフィスのエントランスという一角を与えられた。顔となる入り口として、来訪するクライアントと彼らに応える者との間に、デザインとして何が添えられるかである。
業務の性格上、厳格さと品は具えていたい。シャープなラインが走る堅い造形のベースを、明るくソフトな色合いの仕上げで包み込み、デコレーションによって、ふわりと揺らぐ光と影の漂う情味を付する。
平面で30°、入口ドアに対して斜めに振ったサインのある壁は、壁一枚に込めるシンプルなデザイン所作――それは、外からの人々の視線と来訪を正面で構えずに慎ましく受け止め、同時に奥へのアプローチを促すように在る。
床と天井の狭間に浮揚する輪の連なりは、触れると揺らめく繊細なオブジェクト。それらから醸成されたもう一つのオブジェクトである影が、姿を何倍にもした幻影的な掴めぬ存在へと転換する。ニッチに置かれたコンクリートのオブジェクトは、それの持つ斜めに上る段がニッチの斜めと照応し、上部に乗ったゴールドの輪が先のオブジェクトとも呼応。
ここには、「硬さ」「柔らかさ」「重さ」「軽さ」「シャープさ」「丸さ」「浮遊」「光と影」、それぞれのキャラクターたちが違った主張をする個の混在を見る。しかし、作られた空気は、それら異種同士が認(したた)まったものだ。その状況は、このオフィスが、様々なクライアントと事案に応えていることと似たような気がした。そんな姿勢に添えた細やかなプロジェクトである。
TEXT by 田中伸明
TAO MANAGEMENT GROUP _ OFFICE ENTRANCE
(TAO マネージメント・グループ_オフィス・エントランス)
LOCATION:
FUJISAWA, JAPAN (神奈川県藤沢市)
CLIENT:
TAO MANAGEMENT GROUP (TAO マネージメント・グループ)
PROJECT:
意匠(設計・監理): スタジオ・ニーネ 田中伸明
デコレーション: スタジオ・ニーネ 眞榮城雅子