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ODAKYU RAILWAY TSURUKAWA Sta. IDEA CONTEST - TOKYO

小田急電鉄鶴川駅アイディアコンテスト - 町田/東京

2018

駅活用アイディア部門 - 最優秀賞受賞 - 【駅がわたしの「家」になる】

​【駅がわたしの家になる】

シェアリングエコノミーの拠点としての鶴川駅の15のアイディア

2018年、「みんなの思いが新しい鶴川駅を作ります」と題して、広く「新しい鶴川駅」に対するアイディアを募集したコンテスト。

駅舎だけのデザインを行うのではなく、駅舎の使い方や駅から広がるコミュニティーのあり方など、駅が生み出すコミュニティと駅舎をともにデザインしていくという画期的なアイディアコンテストとなった。

この「駅活用アイディア部門」では、「鶴川駅及び周辺地域(駅前公園、商業施設のオープンスペース)で実施したい、実施して欲しいイベント、新しい鶴川駅がこうなったら嬉しいというアイディア」が問われた。

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シェアリングエコノミーの拠点としての鶴川駅の15のアイディア

わたしのゲストルーム

わたしのカフェ

わたしのリビング

わたしのマンスリーロッカー

わたしの仕事場やオフィス

わたしの保育園、学童保育

わたしのシェアカー

わたしのキッチン

わたしの庭や公園

わたしの図書館や書斎

わたしの会議室や応接室

わたしのステージ、舞台

わたしの農園や冷蔵庫

わたしのアトリエや工房

わたしのスタジオや音楽室

2030年の鶴川駅が楽しくなる理由

2018 年、厚労省が発表した将来推計人口では東京23区の一極集中は更に加速し、その一方で町田市の人口は2015 年から2045 年にかけて10%減少すると予測される。

また、一方で、人口減少による労働人口の確保の為にテレワークや働き方の改革が重要な国家課題となり、労働生産性の向上や家庭の主婦やリタイア後の高齢者のキャリア復帰が期待されている。そういった社会状況の中で、様々な産業における技術革新が進み、2030 年代には自動運転技術の向上により完全自動運転社会が訪れる、という予測もされている。

このような中で、2030 年、鶴川における「駅」の存在はどのようになっていくのか。現在の通勤・通学のための駅利用者がある程度減少することは容易に想像でき、ともすれば、鶴川の街そのものが都心一極集中の波に飲まれることも考えられる。

しかし一方で、都心からそう遠くない環境にありながら、鶴川駅周辺の地域には現在でも静かで豊かな自然と水辺が残り、文豪や文化人に愛された土地柄、文化度の高い良好な環境が受け継がれているといえる。これからの時代、「どこでも仕事ができる」のであれば、このような環境を好み、鶴川を愛してくれる人たちが、その良さと個人のライフスタイルを丁寧に育もうと鶴川に集まる可能性は大いにあると考えてる。

では、そのような趣向のある人たちが求める駅の姿とは何か。

これが今回のアイディアの原点である。

地縁にとらわれない、適度な距離感のコミュニティに同時に所属し、物理的にも精神的にも街の中に個人の居場所が確立することを後押しできることが、これからの鶴川駅にとって重要だと考える。

鶴川駅が家の機能が拡張した、みんなの家になる

目的地までの通過点ではなく、行きたくなる鶴川駅。そこは、自分がほしい生活の一部を担ってくれる部分だと考えます。

駅という、街のシンボルであり、物理的な中心である場所だから、「家にあったらと願っていた理想の生活」の一部がそこに集まる。そうすることで、高度に情報化が進んだ社会で、リアルに人と人とが出会う価値を提供し、その出会いによって触発される「何か」が生まれる場所になることができます。

基本的なインフラとして、活動の「居場所」としての場は無料で誰にでも与えられることが望ましいですが、管理が必要なキッチンや個室、図書館、シェアオフィス、シェアカー、ゲストルームなどは、誰もが利用しやすいように既にある駅改札とパスモの課金システムを用いた有料サブスクリプションサービスとします。

人口減少、

​少子高齢化

自動運転と、

​鉄道インフラ

働き方改革

​の浸透

駅は「交通手段のひとつ」ではなく、

「行く理由のある、みんなの家」になる

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提案について

この「駅がわたしの家になる」の提案では、具体的に2030年の駅の姿を描いている。

東京の一極集中や少子高齢化による人口減少という社会問題を踏まえると、「外部から人を呼んで拡大する」という駅や商業施設の未来像はもはや非現実的である。「外から」という視点ではなく、「内側の、今住んでいる人たち」にどう魅力を提供できるか。その魅力がどう生活や営みと関わっていけるか。その「小さな駅」としての新たな未来像を描くことが、これからの鶴川駅に必要なことである。

また、今回事業主となっているのは小田急電鉄である。

小田急電鉄は、東京都神奈川、箱根・小田原を結ぶ、ブランディングがすでにしっかりとある鉄道事業者・鉄道路線である。しかしその一方で、社会的には自動運転などの新たな技術及び、情報プラットフォームのネットワーク化が進む中で、「運輸」というハード面の事業は飛躍的に拡大し、「モビリティ」という「サービス」のネットワーク(MaaS)が拡張していくことは言うまでもない。

そのような中で、いかに、鉄道事業者が「サービスの提供者」として、既に顧客としている「沿線住民」の生活の基盤を作っていけるか。

​既に路線、不動産、地域住民、という強いポテンシャルを持つ事業主であるからこそ、積極的に主導できる提案が必要であると考える。今回の提案は、それらの社会的な変化も踏まえて、「駅がわたしの家になる」という未来を指し示したものである。

TEXT by マエシロ マサコ

駅がわたしの家になる_w.jpg
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