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AMOREIRAS SHOPPING CENTER _ FOOD COURT - LISBOA

アモレイラス・ショッピングセンター _ フードコート - リスボン/ポルトガル

Project provided from ATELIER NINI ANDRADE SILVA

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ショッピングセンターの一角、別の空気を湛える場がある。そこは、単一仕上げのモノ空間に、あたかも一つの店舗のような姿を醸し出すが、面積4330㎡のスペースに大小34の飲食店がひしめくフードコートゾーン。床も壁も天井も、同色の木板仕上げに覆われ、明る過ぎない程良い照度が落ち着いた雰囲気を創出している。まるで街中のように、縦横に延びるストリート。目当てのレストランを探しながらぶらぶら歩きまわっていると、同時に食事をするための様々な居場所も見つけることができる。水辺や緑、一段高くなったエリア、1人用の小さなテーブル席、44人座れる大テーブル席、バルコニー席、カウンター席、様々な大きさと種類のソファ席、iPadを備えた席…… そんな場所々々で窓外から注ぐ移り行く陽光を感じながら、くつろいで食事をすることができる。

Path / AMOREIRAS SHOPPING CENTER _ FOOD COURT - LISBOA  アモレイラシュ・ショッピングセンター・フードコート - リスボン/ポルトガル
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高台の広大な三角状敷地に存する突飛なデザインの建物。1・2階がショッピングセンターで、その上に複数の高層オフィス棟・住居棟が聳える。1985年に建てられた、この巨大な都市型複合施設は、当時隆盛だったポストモダン建築の、この地における代表格である。オープンより30年の節目を迎えるにあたり、このアモレイラス・ショッピングセンター内に、新コンセプトによるフードコートのリニューアルを依頼された。

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先のものは、建物の開口に面してテナントスペースが配置されていたため、共用スペースには陽の光が入らないような状況であった。一方で、新しいものは、共用部に最大限の窓を確保し、自然光を望まれた。建物に順応するものとして、プランには既存の建築に潜在した「窓の位置・形や軸線」の秩序を見出して取り込み、商業上の在り方として、レイアウトには如何に効率よく多くのタイプのテナントを並べられるか、動線には顧客が流動的に回遊できるかを徹底した。また、多種多様の店舗の集まりが煩雑な見えになってしまうのを避けるため、デザインを整理し如何に落ち着き有る見えにするかに留意している。買い物客をターゲットにすることはもちろんだが、このショッピングセンターの場所柄ゆえに、もう一つの大きな顧客対象がある。それは、同ビルに入るオフィスとその周辺に広がるオフィス街である。昼の時間になると、食の場を求めてオフィスワーカー達がわらわらと出てくる。そこで彼らの小休止に必要なくつろぎと気分を清新なものとする場になることも大きなポイントとなった。また、このショッピングセンターのブランドイメージに沿い、カジュアルさよりむしろ上質なテイストがインテリアデザインに表出されている。

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共用スペースは、通り(つうろ)に置かれた席の他、「ラウンジ・エリア」、「ダイニング・エリア」、「テラス・エリア」という異なる個性を持つ3種類のメイン広場(エリア)が包有される。「ラウンジ・エリア」は、水や緑を横に大きなローテーブルと1m角の大きなソファがあり、軽い飲食に待ち合わせや歓談といったシチュエーションを想定している。「ダイニング・エリア」には、44人座れる長さ14.5mの大テーブル席に、124枚のコルクプレートを使用した長さ13mの巨大なランプが吊下がる。ここは、フードコートゾーンの奥に秘められたひと際目を引くスペースを演出する。

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2カ所ある「テラス・エリア」は、床レベルが45cm上がる。窓に面し、陽の光に包まれる屋内テラスのように感じられる場所である。これらのスペースは、一遍に見えることはない。歩みを進め、角を曲がるごとに目に入ってくるのだ。そこには、街中で見つける意外な場所のような、或はシークエンスの展開の面白さのようなものがデザインの狙いになっていると共に、奥のスペースまでどのように人を引き込むかというストラテジーでもある。

ポルトガル人は、レストランの屋外席、テラスや広場や通りの上で食事をすることが好きだ。そんな感覚を屋内に持ち込んで、自然と人を惹きつけ溜まれる場所になることを願った。そして、その場の雰囲気は、ほんのりとどことなく日本を感じさせる。木の仕上げに包まれた柔らかく落ち着き有る空間なのである。

TEXT by 田中伸明

AMOREIRAS SHOPPING CENTER _ FOOD COURT 

アモレイラス・ショッピングセンター フードコート

LOCATION:

LISBOA, PORTUGAL (リスボン、ポルトガル)

TOMÁS TAVEIRA (トーマス・タヴェイラ)設計の建築

COPLEXO DAS AMOREIRAS(アモレイラス・タワー・コンプレックス)内

 

PROJECT:

ATELIER NINI ANDRADE SILVA

(アトリエ・ニニ・アンドラデ・シルヴァ)

www.niniandradesilva.com/en/

SARAIVA + ASSOCIADOS

(サライヴァ・イ・アソシアドシュ)

www.saraivaeassociados.com/en

CLIENT:

MUNDICENTER (ムンディセンター)

www.mundicenter.pt/en/shoppings/amoreiras/amoreiras-shopping-center/24

このプロジェクトは、ATERIER NINI ANDRADE SILVAのものであるが、NINIの認許により本ページにて紹介させていただいている。

STUDIO NINÉ田中伸明がアトリエ在席中にメインアーキテクトとしてデザインから監理までトータルに携わったものである。

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